無国籍衣料店　ＴＳＵＮＡＭＩ

５日目
真っ暗闇の中、ぎゅうずめバスに揺られ峠を走っている。俺は潰されそうになり、助けてくれと訴えるが誰もが見て見ぬふりだ。
周りの人達も状況は一緒で、諦めと共にそれを無表情に受け入れてる。「あれ？俺まだバスに乗っている？あーー止めてくれー！」

　ハッとなって飛び起きたらそれは夢だった。良かった～！まさか夢にまで見るなんて、かなり精神的にやられているのが自分でわかる。なんだか体もあちこち痛い。時計を見ると６時前。外は薄暗く朝なのか夕方なのかわからなかったが、窓から顔を出すと霧が立ち込めていたのと人の動きで朝だとわかった。ラオス人の朝は早い。

　さて今日から本格的に仕入れを始めなくてはいけない。とその前に、昨日から何も食べていなかったので異常に腹がへってきた～。とりあえず朝飯を食べに外に出るが、この村には選択権がない。どういう事かと言うと、例のヌードルスープ屋一軒しかないのだ。ここに来たら朝昼晩ヌードルスープしか食べられないのは覚悟していた。贅沢はいっていられなく、何でもいいから腹に入れたい。
　
　その店を目指して歩いていると、去年までなかった食堂を発見！なんちゃって中華屋みたいな店内だが、メニューもしっかり置いてある。でも何が書いてあるのか皆目見当もつかない。こんな時には　チャーハン　だ！チャーハンは万国共通どこにでもあり、最もハズレの少ない料理と言えよう。試しにタイ語で　カウパット（チャーハン）と頼んでみた。どうやら通じたみたいだ。あと、
チャーハンの上に乗せる目玉焼きは欠かせないので、カウンターの上に置いてあった卵を指差しこれを焼いてと頼んだ。首を縦に振りうなずいている。よし！通じた！待つこと１５分、出て来たのはこれ

こげ茶色のチャーハンの上には既に卵は乗っていて、単品で出てきた目玉焼きさらに２つ。
「目玉焼きが乗ってんだったら先にいえー！！どんなに卵好きなんじゃい！俺は坂東英二かー！！」
しかも、鉄板のチャーハンも油となんかのタレの入れ過ぎでベチャベチャになっていて、腹ぺコリーナの俺でもこの上なくまずい！彼女の家に初めて遊びに行って、普段料理をまったくしない彼女がぎこちなくも、初めてがんばって作ってくれた様な味だ。
それに愛というスパイスがあれば食えなくもないが、朝一の俺にはどぎつ過ぎてほとんど残してしまった。お百姓さんごめんなさい！でも俺が悪いんじゃないと思う....

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　－　つづく　ー