無国籍衣料店　ＴＳＵＮＡＭＩ

いざ織物の村へ



市場から村への道はとにかくまっすぐ行くだけだが、それじゃ面白くないので途中変な小道で曲がってみた。俺は地図には載ってない様な道を適当に入って行き、散々迷ったりして「あ～帰れないかも～！もう二度と戻れないかも～！ここどこ～？」と、本気で心配になってきたと思いきや、ポンっと知ってる道へ出た時のあの安堵感がたまらなく好きで、たまにわざと迷ったりしてみる。ある時はどつぼにハマり、ある時は意外と簡単にすぐ出てこられて「チッ！大した事ねえな！バッチこいよー！」という期待外れの道もある。一種のMなんです。途中、素敵な何かに出会える事もごくたまーにある。そんなわくわく感がアドレナリンを発生させるのか？無駄にお思いかも知れませんが、これって俺だけでしょうか？

　今回のラビリンスはまあまあの迷子加減だったが、ちょうど村の入り口に出てこられた。各家々からは、カッタンカッタンと自家製手織り機の音が聞こえてきた。間違えない。ここだ！


村に入るとどうやら俺はかなり目立つみたいで、子供達がくっついてくる。大人たちはシャイなのか、目を合わせると直ぐに顔を背けてしまう。でも通り過ぎると、目をまん丸くさせてこっちを見ていたりする。そんな中、あるお宅にお邪魔させてもらう事ができて飯までご馳走になり、ちゃくちゃくと仕入れは進んで行く事ができた。





　仕入れが無事に終えるもつかの間、早く宿に戻り帰る準備をしなけりゃいけない。明日の朝、昨日２１時間かけて来た道をまた戻らなくてはいけないのだ。せっかくこんな所まで来たのだから、もっとゆっくりしたい所だが、一刻でも急がなきゃいけない理由がある。それは、ソンクラーンだ！（水かけ祭り）ソンクラーンは東南アジア一帯が３日間旧正月に入り、交通機関もどの位停止するのか予想もつかないし、第一このまま予定通りにいったとしても、旧正月当日にソンクラーンのメッカ、タイのチェンマイに入る予定なのでホテルや何やらで混雑が予想される。兎に角、あと４日内にラオスから脱出しなければ、俺は仕入れた荷物と共に行く先々でずぶ濡れになる事間違いない。奴らは、容赦しない事だけは知っているつもりだ。